信用状取引における書類チェックとディスクレ対応
カリキュラムの概要
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このカリキュラムで学ぶこと
・買取書類のチェックポイント
・ディスクレパンシーへの対応策
・その他の貿易金融
輸出書類の基本とチェックポイント
信用状の使った取引では、船積みを終えると代金を回収するため、輸出者は買取銀行に荷為替手形の買取を依頼します。輸出者が銀行へ持ち込む船積書類は、信用状と完全に一致している必要があります。
これを厳密一致の原則といいます。
そのため、必要書類の内容が正しいかを確認するポイントが重要になります。チェックするべきポイントについて、特に試験で問われる点を7つに絞って解説します。
書類のチェックポイント
① 信用状は取消不能信用状か(取消可能信用状だと買取不可)
② 信用状は原本か
③ インボイスの物品の記述は信用状と一致しているか
④ 船荷証券の発行日は信用状の船積期限内か
⑤ B/Lはリマークのない無故障船荷証券(Clean B/L)であるか
⑥ 荷受人欄に”to order of shipper and blank endorsed”もしくは”to order and blank endorsed”と記載されている場合、輸出者は船荷証券全通に白地裏書をしたか
⑦ 保険証券の付保日が船荷証券の船積日以前になっているか
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これらの書類のポイントについては、正誤問題などで問われます。なお、数あるチェックポイントのうち、ここで紹介するのは本当に頻出となるポイントだけです。
少なくともこの7つについてはしっかり把握しましょう。実務でもスムーズな取引のために非常に重要になるため、書類作成の際に注意してくださいね。
ディスクレの種類と対策
ディスクレパンシー (ディスクレ) とは、信用状条件と船積書類の不一致や矛盾のことを言います。これらが発覚すると信用状発行銀行に支払いを拒否される恐れがあり、取引にも大きく影響します。
インボイスなど輸出者が訂正できる書類の範囲であれば修正は簡単ですが、信用状条件や契約条件と実際の取引が異なった場合は、輸入者や信用状発行銀行へ条件変更(Amendment)の依頼が必要です。しかし、条件変更の手続きの時間がない場合などディスクレがある状態で銀行へ買取依頼を行わなければならないケースもあります。
そのような場合の対策なども押さえておきましょう。ここではディスクレの種類と、それに対する対策を解説します。
ディスクレの種類
まずはディスクレの6つの種類について、内容を確認しましょう。
(1) Over Drawing
信用状で許可された金額を超える手形を発行している場合。つまり、信用状で指定された限度額を超えて取引が行われている状況です。
(2) Late Presentation
船荷証券の発行日から10日以上経ってから買取の依頼をする場合。船荷証券は通常、商品の受け取りを示す書類であり、それを適切なタイミングで提示することが求められています。
(3) L/C expired
(2)よりもさらに遅れて、信用状の有効期限が切れた後で買取の依頼をする場合。
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(4) Late Shipment
信用状に記載された船積期限よりも遅れて貨物を船に積んだ場合。契約条件に違反している可能性があります。
(5) Short Shipment
信用状で要求された数量よりも少なく貨物を船に積んでいる場合。契約条件に矛盾します。数量の不足は、契約条件に違反していることになります。
(6) Partial Shipment
信用状で分割船積みが禁止されているにもかかわらず、一部のみの船積みを行っている場合。契約条件に違反しており、信用状の指示に従っていない可能性があります。
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ディスクレの対策
次に、ディスクレが発生した場合の4つの対策について紹介します。
(1) 信用状の条件変更(Amendment)
輸出者が信用状を受け取り、契約との不一致が判明した場合、信用状の条件を修正する必要があります。この場合は、通常、輸出者が輸入者に対して条件変更を依頼する形が取られます。
輸入者が信用状発行銀行に依頼して修正するため、修正には時間を要します。実務ではこれをアメンドといいます。
(2) ケーブル・ネゴ(Cable Negotiation)による買取
ケーブル・ネゴは、電信を利用して買取銀行に買取を依頼する方法です。ディスクレが発覚しても、アメンドの時間的余裕がない場合に利用されます。
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具体的には、買取銀行が信用状発行銀行に対して電信(Cable)でディスクレの内容を伝え、「不一致の書類でも輸入決済する」という回答を輸入者、信用状発行銀行から電信で得たうえで、買取銀行が買取を行います。
(3) L/G付買取
ディスクレの内容がスペルミスなど軽微な場合、L/G(Letter of Guarantee 保証状)を添えて買取を依頼します。これは、L/Gネゴと呼ばれます。
L/Gは「書類内容の不一致については輸出者がすべて責任を負います」といった内容になっており、輸出者が買取銀行に提出します。
(4) 取立 (Collection) 扱い
ディスクレの内容が深刻であり、アメンドが不可能な場合、買取銀行は買取を行わずに輸入者に通知し、輸入者が決済した後に輸出者に支払う手続きを取ります。信用状の役割は果たされないので、実質的には銀行による支払い確約のない取引となります。
以上、ディスクレがあった場合はこの4つの方法で対応することになります。ディスクレの内容に応じて、最適な対策を都度検討が必要です。
ディスクレが発生すると支払いが確約されなくなるリスクがあるため、ディスクレが発生しないように書類を作成することが大切です。
覚えておきたい貿易金融
最後に、貿易金融の一種であるフォーフェイティングと国際ファクタリングについて概要を解説します。前者は信用状取引において選択できる手法で、後者は信用状を使用しない手法となっています。
フォーフェイティング
銀行による輸出手形買取取引のうち、万一手形が不払となったとしても、買取銀行が輸出者に手形の買戻を要求しない取引をフォーフェイティングといいます。
輸出者は手形を買い戻さなければならないという代金リスクを回避でき、輸入者からの代金回収リスクや、輸入国のカントリーリスクのリスクヘッジなども出来るのが特徴です。輸出債権の管理や回収にかかる手間やコストなども削減できるのも、輸出者にとってはメリットでしょう。
国際ファクタリングの概要
また、信用状を利用しない国際ファクタリングという手法もあります。銀行に代わり、輸入国の海外ファクタリング業者が輸入企業の信用調査を行い、保証額を決定するのです。
信用状発行に伴う手間がなく、仲介するファクタリング業者が支払いを保証するので、輸出者は100%の代金回収が可能になります。
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第十二回のチェックポイント
それでは、今回の頻出ポイントを振り返りましょう。
・信用状取引における、輸出書類の重要チェックポイントがわかる
・ディスクレの種類6つの内容がわかる
・ディスクレが起きた場合の4つの対策がわかる
・ フォーフェイティングとは何か説明できる
・国際ファクタリングとは何か説明できる
今回のカリキュラムで出てきた、輸出書類のチェックポイントやディスクレの種類、対策、貿易金融は全て頻出です。覚えるポイントが多く信用状取引の分野が苦手という方もいると思いますが、ここでは頻出ポイントだけに絞って記載しています。
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