トピックの概要
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そしたら今日は改めて保税運送について、理解を深めていってな。
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このトピックで学ぶこと
- 保税運送とは
- 保税運送が利用される場面
- 保税運送を利用する目的
- 保税運送の手続き
保税運送とは
保税運送とは、外国貨物を保税地域から別の保税地域へ運送することです。
保税地域から外国貨物を搬出する時は、原則として、輸入申告をして税関の輸入許可を得なければなりません。しかし、保税運送の制度を利用すれば、輸入許可を得ることなく保税地域間で外国貨物を運送することができるのです。
保税地域間の運送では、陸路、空路、海路のすべてが利用可能です。もちろん、「陸路と空路」など、複数の輸送手段を組み合わせることもできます。
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保税運送を利用する場面
さて、保税運送は一体どのような時に利用されるのでしょうか。
次にご紹介するのは、代表例です。
混載貨物の運送
コンテナが輸入された後、LCL貨物は、CFS(コンテナフレイトステーション)でデバンニングされますね。
この時に使われるのが保税運送です。保税運送を利用して、コンテナはCY(コンテナヤード)からCFSへ移動されます。
空港間や港間の転送
外国貿易船や航空機が就航している港や空港は限られています。就航している空港と、別の地域の保税地域の間で貨物を移動する時にも、保税運送が利用されます。
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保税運送を利用する目的
保税運送は、下記のような目的で利用されます。
- 保管料の削減
- 保税作業の実施
- 適切な保管環境の確保
これは代表例ですが、保税運送は、外国貨物の取り扱い方法や保管場所の幅を広げます。輸出入者や国際輸送関係者(フォワーダー、船会社、航空会社など)の利便性を高めて、貿易の円滑化や低コスト化に役立っています。
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保管料の削減
CYや空港にある保税蔵置場は、保管料が高額となる場合が多いです。
何らかの事情で到着後すぐに輸入通関ができない場合は、別の保税地域へ保税運送するという手があります。これにより、費用を抑えることができるのです。
ただし、保税運送によっては次のような費用が発生しますので、トータルでどちらが安くなるかといった試算は必要となってきます。
- 保税運送申告料(通関業者等に保税運送申告を依頼した場合に発生)
- 保税運送料(貨物の運送料)
- 運送先の保税地域で掛かる費用(搬出入作業料、保管料)
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倉庫主としても、荷物置き場にされたら困りますもんね。
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保税作業の実施
移動先の保税地域で内容点検などの保税作業を行う場合、保税運送が使われます。
CY (コンテナヤード) でコンテナを開封して内容点検をすることはできません。そのため、例えばFCL貨物などに内容点検が必要な場合、保税運送を利用してCFS(コンテナフレイトステーション)へ貨物を一旦移動させる必要があります。
また FCL以外であっても、貨物の全量を点検するような手間のかかる作業をする場合、CFSからフォワーダーや通関業者が所有している保税蔵置場へ保税運送してから作業を行うことがあります。
適切な保管環境の確保
食品など、冷蔵保管が必要な貨物の管理のためにも保税運送が使われます。リーファーコンテナでの輸入であれば、コンテナのまま、充電しながら蔵置することで冷蔵を保つことができます。
しかし、LCL貨物や航空貨物の場合、コンテナから貨物を取り出さなければなりません。
貨物が当初搬入される保税地域に冷蔵設備がなければ、貨物の品質を保つことができません。そのため、冷蔵設備のある保税蔵置場へ保税運送で移動することがあるのです。
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保税運送の手続き
保税運送は、関税を納めない状態で外国貨物を運送するため、税関の承認を得て、決められた手順で運送を行う必要があります。
保税運送の申告
まず、保税運送をする人は、外国貨物運送申告書(運送目録兼用)を税関長に提出して、「保税運送申告」をします。税関長が保税運送申告を承認すれば、保税運送が可能になります。
外国保税運送申告書には次のような事項が記載されています。
・運送手段の種類(船舶、航空機、トラック)
・貨物の運送先
・運送の期間
・貨物の番号
・品名
・数量
・価格
なお、保税運送申告は通関業務ではないため、通関業者でなくても行うことができます。
税関の審査、検査
申請をしても、税関は、必要があると判断した場合、保税運送の承認をする前に貨物の検査をすることがあります。といっても、実際は、書類審査のみで保税運送の承認がされることが多いです。
承認と期間の指定
問題がなければ、保税運送が承認されます。
税関長は保税運送の承認をするときに、保税運送を認める期間を指定します。この期間は、運送手段や運送距離、運送事情等を考慮して、余裕をもった日数となります。
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発送手続き
税関から承認を受けたら、保税運送承認通知書を保税地域へ提示することで、貨物を引き取ることができます。
運送する貨物は関税を納付していない保税貨物ですので、運送するときは貨物の管理に十分気を配る必要があります。もし、運送中に貨物の破損などの異常が発生した場合、運送人はただちに税関へ報告をする必要があります。
到着確認の手続き
貨物が運送先の保税地域へ到着したら、保税地域の担当者が運送目録と現物の一致確認を行い、搬入処理を行います。
到着時に貨物に破損等の異常が見つかった場合、保税地域の担当者は到着地を管轄する税関へその情報を報告します。問題がなければ運送目録を税関へ提出して、税関の確認を受けます。
最後に、確認を受けた運送目録を発送地の税関へ1か月以内に提出すれば保税運送の手続きが完了します。
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まとめ
保税運送はフォワーダーや通関業者でない限り、意識することが少ない手続きです。しかし、実際の輸出入の現場では、ご紹介した例のように様々な目的で日常的に行われています。
円滑な貿易を推進する制度ですが、制度の理解がおろそかであると外国貨物の誤った取り扱いをすることになってしまいます。手続きや事故が起きた時の対応方法を理解して制度を利用できるようになりましょう。
テストを受けよう
本章で学んだことを練習問題を解きながら復習しましょう。できるだけトピックを見ないで解くことをお勧めします。
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